堤防の遊歩道から

海辺を見下ろして歩いていた

爽やかな昼前どき

 

永遠に続きそうに長い

広い浜辺に遠く

一群の家族が現れてみるみる

小さなテントが立てられて

子どもたちは吸いこまれていった

 

しばらく歩くとちょうどテントのあたりにさしかかって

テントの後ろの開口が覗けて

小さな女の子と目が合った

女の子は堤防を歩く私たちに一瞬注目したらしかった 

 

女の子は私たちの姿を一瞬留めて

たぶん忘れるだろう

覚えもしないだろう

けれど確かに

女の子は私たちを見た

 

小さな子どものまなざし

すべての幼いまなざしのすべて

 

記憶の印画紙に露光されることもなく

言葉の森に迷い隠されることもなく

光そのものに近似する

光はそれに近似する 

 

堤防の果てで折り返して引き返すと

波打ち際に大きなパラソルが立てられていて

こどもたちは大人たちが釣り糸を大洋へ放る先を

傍らで少し踊るようにしてはしゃいで見ていた

 

正午に近く

光はこれ以上ないくらい明るかった