利き腕の右腕を骨折して病院ではじめに左手で問診表に「右腕骨折」と記入したとき。

小さな解答欄のハコに小さく文字を納めるために、慣れない(容量超過)指先から意図は氾濫して溢れて漏れて零れて派生して接ぎ木するように連鎖するそれを補う掌、手首、腕、肘、肩、首、腰までをくねらせながら所作を治めた。書くという所作を。

いまさっき、湯を張った鍋の中で踊る麺(スパゲティ)を見ていて改めてそのことを思い出していた。

ボールペンのペン先から肘肩腰を経由して足の親指の先までひとすじのものとなってまるで全身が文字に振り回されていたようなそのときを。

書くことというだけでなく、なにか加えてべつのことまでもしていたような記憶の感触がある。踊りとまでは言えないけれど。